時計塔から昼の鐘が鳴り、荒物屋の主人が店に戻ってきたので、その代わりにセキは家へ向かった。昼食をとるための帰宅だ。
帰宅してみると、学校へ行っていた妹が弟と一緒に食事の用意をしていた。
「あ。おかえり」
できたての料理からはいい匂いがたちのぼっていた。
「なんだ、今日はアキリが作ってくれたのか」
「うん、いつも作ってもらってるしね。たまにはね」
「そっか、悪いな。セトは薬はちゃんと飲んだのか。寝てなくて大丈夫か」
「だいじょうぶ。今日はちょっと気分がいいし」
「それならいいんだ。……ところで、親父は?」
家の様子を探るが父の姿がなくなっている。
「お父さん、酒場に行っちゃったよ」
「またか……。まぁ酒場ならゴブリンもいないだろしな。それにしても美味そうだな」
「じゃ、手を洗って座って。すぐによそうから」
「わかったよ」
食事の支度をする弟妹の姿を見ながらセキは食卓へつく。
いつものように三人で食事を済ませると、それぞれ弟はベッドへ、妹は学校へ、セキは荒物屋へと戻っていった。
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